肩が痛くて挙がらないのは五十肩ではなく腱板損傷かも?腱板損傷の痛みの特徴や原因について解説

2024年03月28日

まつお鍼灸整骨院では、五十肩でお悩みの方々へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。  

腱板損傷と五十肩は違うのか?

肩が痛くて挙がらなくなったから五十肩だと思っていたら実際には腱板損傷だった・・ そんなケースもよくあります。

五十肩と腱板損傷はなかなか鑑別が難しいケースもあります。

腱板損傷と五十肩(肩関節周囲炎)は、共に日常生活に支障をきたすほどの肩の痛みや動作に制限が出てきます。

症状がよく似ていますが全く違う疾患です。  

腱板損傷について

腱板は肩関節の安定性と動きを支える、4つの主要な筋肉、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋4つの筋肉があります。

これらの筋肉に生じる損傷が腱板損傷であり、主に過度な使用や外傷によって発生します。スポーツ選手が激しい動作を繰り返すことで発症することが多いのはこのためです。

また、年齢が上がるにつれて腱板が自然と摩耗し、損傷しやすくなることも原因となってきます。  

腱板損傷の原因

① スポーツや重労働による過度の使用

スポーツ選手や、重い物を頻繁に持ち上げる仕事をしている人は、腱板損傷を起こしやすいと言われています。特に野球、テニス、水泳などのスポーツは、肩に過度のストレスを与え、腱板を損傷する可能性が高まります。

繰り返しの動作によって、肩の筋肉や腱が繰り返し過度に使用されることで、摩耗や小さな断裂が生じ、最終的に腱板損傷に至ることがあります。

 

  ② 転倒や事故による直接的な衝撃

転倒や交通事故など、肩が直接的な衝撃を受けることも、腱板損傷の一因となります。特に、手を伸ばした状態での転倒や、肩を強打するような事故は、腱板に大きなダメージを与えることがあります。

このような衝撃によって、腱板が部分的に断裂するか、完全に断裂することもあります。

 

  ③ 加齢に伴うもの

年齢を重ねることで、腱板の組織が徐々に退化し、弱くなります。これは、腱板の血流が加齢によって減少することや、組織の自然な消耗によるものです。

その結果、比較的軽い負荷でも腱板が損傷しやすくなり、痛みや肩の動きの制限を引き起こすことがあります。

 

腱板損傷の症状

① 肩の強い痛み、特に夜間や安静時に顕著

腱板損傷の最も一般的な症状の一つが、肩の痛みです。特に、夜間や安静時に痛みが強くなることがあります。これは、日中の活動による炎症や腫れが、体を休めている夜間に痛みとして強く感じられるためです。

また、肩を特定の方向に動かすことで痛みが増すこともあります。

 

  ② 肩の可動範囲の制限、特に腕を挙げる動作が困難

腱板損傷を起こすと、肩の可動範囲が制限されることがあります。特に、腕を挙げる動作が困難になります。これは、腱板の損傷により肩関節の安定性が失われ、正常な動きができなくなるためです。

日常生活において、物を棚に置く、髪を洗う、着替えるといった動作が難しくなることがあります。

 

  ③ 持続的な痛みや運動時の不快感

腱板損傷は、持続的な痛みや運動時に痛みを引き起こします。痛みは肩だけでなく、腕に沿って放散することもあります。

腱板損傷の痛みや不快感は、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすこともあります。特に、肩を頻繁に使用する動作や重い物を持ち上げる動作が困難になることがあります。

 

五十肩(肩関節周囲炎)について

五十肩は、特に中高年に多く見られる肩の疾患で、肩関節の動きが著しく制限され、痛みを伴います。 この疾患は、肩周囲の筋組織が硬くなり、炎症を起こすことで発生します。

 

五十肩の原因

年齢

40歳から60歳の間に多く見られるこの疾患は、「五十肩」という名前が示す通り、特に50代の人々に多いです。年齢とともに肩関節やその周囲の組織は、ダメージを受けやすくなり、筋力も低下します。これが、五十肩が年齢と強く関連している一因です。

 

不適切な姿勢

長時間のデスクワークは、肩や首への負担を増加させます。特に、前かがみの姿勢や肩の位置が高くなる姿勢を長時間続けることは、肩周辺の筋肉や腱に過剰なストレスを与え、炎症を引き起こす原因となります。この炎症が、五十肩の発症につながることがあります。

 

筋肉の拘縮

デスクワークによる静的な姿勢は、肩周りの筋肉が拘縮しやすくなります。筋肉が拘縮すると血流が悪化し、組織の修復能力が低下します。結果として、肩関節の柔軟性が失われ、五十肩のような症状が現れやすくなります。

 

運動不足

運動不足は、全身の筋肉の衰えや関節の柔軟性の低下を招き、これが五十肩のリスクを高めることに繋がります。

 

五十肩の症状

肩の痛みと硬さ

五十肩の最も一般的な症状は、肩の痛みと硬さです。肩関節の周りの組織が炎症を起こし、それが痛みや肩の動きにくさの原因となります。この硬さは、肩の動きを大きく制限します。

 

2. 動作の制限

腕を上げる、背中に手を回すなどの動作が難しくなります。特に、身体の後ろで物を掴む動作や、着替え時に服を脱ぎ着する際に困難を感じることが多いです。

 

3. 夜間の痛みの増加

多くの患者さんが、初期に夜間痛を訴えます。これは、炎症が起きている状態で1か月ほど続くこともあります。

 

腱板損傷と五十肩の違い

1. 発症の仕方

腱板損傷

怪我や過度な使用が原因で急に症状が現れることが多いです。特に、肩に負荷がかかるスポーツや活動をしていた後に痛みが出始めるケースがあります。

五十肩

症状は徐々に発症し、特定の原因がないことが多いです。肩の動きが段々と制限されていくことが特徴です。  

2. 痛みの特徴

腱板損傷

腕を特定の方向に動かす(特に上に挙げる動作)時に痛みが増すことが特徴です。夜間の痛みも腱板損傷の典型的な症状です。

五十肩

肩の周囲全体の痛みと硬さがあり、特に肩を動かそうとすると痛みがあります。時間とともに動きがますます制限されます。

特に結髪結帯動作が制限されることが多いです。  

 

五十肩と腱板損傷はどちらも症状が似ているので自分ではなかなか判断が難しいケースがほとんどです。肩が痛くて挙がりにくい、といった症状が出はじめたら放置せずに早めに専門家に見てもらうようにしましょう。    

 

投稿者:松尾洋信

資格:柔道整復師 鍼灸師 カイロプラクター

経歴:明治東洋医学院専門学校 行岡整復専門学校 茨木市出身。施術家歴25年。学生時代はずっと野球をやっていました。大学卒業後に治療家を目指し専門学校へ入学、柔道整復師・鍼灸師の国家資格を取得。

その後、整骨院や鍼灸院・整形外科・社会人野球のトレーナー活動などを経て2010年に開業。その後、多くのセミナーに参加してレントゲンに基づいた独自の骨格矯正で首の痛みや頭痛・ストレートネック・頚椎ヘルニアなどの施術を専門としています。
身体のことでお悩みのことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

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参考文献
日本整形外科学会