五十肩・肩関節周囲炎は温めるのか?冷やすのか?温シップと冷シップはどっちが良い?

2024年03月29日

まつお鍼灸整骨院では、五十肩でお悩みの方々へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の治療経験に基づいて、記事にまとめています。

 

普段の患者さんとの会話でよく五十肩になったら「温めるのか?冷やすか?」という質問をよくされます。これは、今の五十肩の痛みがどの段階にあるかによって温めるのか?冷やすのか?が変わってきます。一般の人はなかなかこの判断はなかなか難しいかもしれません。

 

誤った判断をするとかえって痛みが悪化するケースもあります。五十肩は温めるのか?冷やすのか?について解説していきます。

五十肩は3つの周期に分けられる

五十肩は急性期、慢性期、回復期という三つの段階に分けることができます。それぞれの段階で適切な施術が必要です。

 

①炎症期

急性期は五十肩の初期段階で、痛みや可動域の制限が顕著に現れます。この段階では肩関節周囲の組織が炎症を起こし、患者は肩を動かすことが難しくなります。急性期の主な特徴は次の通りです

・強い痛み: 肩の動きに伴う強い痛みが現れます。特に夜間や休息時に痛みが増すことがあります。

・可動域の制限: 肩の可動域が著しく制限され、特定の動作が困難になります。

・炎症の徴候: 肩周囲に腫れや赤み、夜間痛などの炎症徴候が現れることがあります。

 

②慢性期

慢性期は症状が持続し、痛みや可動域の制限が続く段階です。急性期から継続して症状が出ている場合に該当します。慢性期の特徴は次の通りです:

・持続的な痛み: 痛みが継続し、日常生活に影響を与えることがあります。特に肩を使う動作や長時間の姿勢保持時に痛みが増すことがあります。

・可動域の持続的な制限: 肩の可動域が制限されたまま維持されます。痛みのために肩を動かすことを避ける傾向があります。

 

③回復期

回復期は症状が改善し、肩の機能が徐々に回復していく段階です。慢性期が終わると回復期に入ってきます。回復期の特徴は次の通りです:

痛みの緩和: 痛みが徐々に軽減し、日常生活に影響を与えることが少なくなります。

可動域の改善: 肩の可動域が徐々に改善され、機能が回復していきます。

 

肩の痛みが出始めた時期による対処法

急性期(炎症がある場合):急性期、すなわち痛みが強い初期段階では、肩を冷やす方が良いです。冷やすことによって炎症反応を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。また、アイシングは血流量を一時的に減少させて、腫れや炎症を抑える効果があります。

アイシングの効果:血流の低下によって痛みが緩和する、患部の腫れを抑える、炎症の軽減などの効果があります。ただし、アイシングは冷却によって局所的な体温を下げるため、過度な冷やし方は逆効果になる可能性があるので注意が必要です。

 

慢性期(炎症が落ち着いている場合): 炎症が落ち着いて痛みが和らいできた慢性期には、肩を温める方が良いです。温めることで血流が良くなり、柔軟性が向上し、痛みの軽減や運動範囲の改善の効果が期待できます。

温めるときの注意点:温める場合は、肩周りの血流を良くし、筋肉の柔軟性を高めます。慢性期になると積極的に温めていきましょう。

 

冷シップ?それとも温シップが良い?

五十肩で湿布薬を使用している人も多いと思います。湿布薬には、肌に貼ると冷たく感じる「冷湿布」と暖かさを感じさせる「温湿布」の二種類があります。患者さんからはよく、「冷シップと温シップどちらの方が良いの?」と聞かれることがあります。

どちらの湿布薬を貼るかはなかなかわからない人も多いと思います。

 

冷シップ

冷シップは主に、打撲や捻挫など局所の腫れが生じる急性疾患に使われます。冷湿布にはハッカやメントール成分が配合されているため冷たく感じます。

冷やすことにより局所の血管が収縮し、炎症を抑え、痛みをおさえます。しかし、若干の冷却効果があるとはいえ、冷たく感じるだけで、冷却効果はそれほどありません。

したがって消炎鎮痛効果は期待できますが、局所の冷却には患部を氷嚢や氷枕で冷やしたほうが効果的です。

 

温シップ

一般的に、肩こりや腰痛、関節痛などの慢性疾患に使用されることがあります。温湿布には、トウガラシ成分のカプサイシンが含まれており、肌に貼ると温かさを感じます。

これにより、消炎鎮痛薬の効果が得られるだけでなく、温めることで血管が拡張し、血液の循環が改善されます。

ただし、温湿布は筋肉や関節の温度を急激に上げる作用はありませんので、局所を温めるにはカイロなどを使用すると効果的です。

 

急性疾患には冷やす、慢性疾患には温めると言われていますが、基本的に湿布はどちらも消炎鎮痛剤を含んでいるため、薬としての効果は同じです。

湿布自体にはあまり冷やすまたは温める効果はありません。一般的には、「どちらの方が気持ちが良いか」で好みで使い分けて良いと言われています。

 

五十肩は温める?冷やす?温シップと冷シップはどっち?まとめ

五十肩の痛みは人によって感じ方が異なりますし、症状の進行段階によっても温めるのか?冷やすのか?異なってきます。

炎症を伴う急性期では冷やすこと、炎症期が終わり慢性期に入ると温めることが良いです。

ですがなかなか自己判断するのは難しいと思いますので、当院では患者さんの状態によってアドバイスをしています。

そして、慢性期に入ると予防として日々のストレッチや適度な運動を続けることも重要だと心がけましょう。

五十肩も症状によってすぐに良くなる人、拘縮が強いと時間がかかる人もいるので、かなり個人差があります。

温めたほうが良いのか?冷やした方が良いのか?五十肩についてわからないことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

投稿者:松尾洋信

資格:柔道整復師 鍼灸師 カイロプラクター

経歴:明治東洋医学院専門学校 行岡整復専門学校 茨木市出身。施術家歴25年。学生時代はずっと野球をやっていました。大学卒業後に治療家を目指し専門学校へ入学、柔道整復師・鍼灸師の国家資格を取得。
その後、整骨院や鍼灸院・整形外科・社会人野球のトレーナー活動などを経て2010年に開業。その後、多くのセミナーに参加してレントゲンに基づいた独自の骨格矯正で首の痛みや頭痛・ストレートネック・頚椎ヘルニアなどの施術を専門としています。
身体のことでお悩みのことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

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参考文献
日本整形外科学会