乳がんの手術後に腕が痛い・肩が上がらない方への整体でのアプローチについて

2024年06月1日

 

乳がんの手術を受けた後、肩が上がらない、腕が痛くて動かしづらくてお悩みの方へ。

この症状は、手術中の筋肉や神経への影響やリンパ浮腫が原因となることがあります。具体的には、以下のような要因が関与しています。

手術による筋肉や神経への影響

乳がん手術では、腫瘍や周囲のリンパ節を取り除くために広範囲にわたる組織を切除することがあります。この過程で、胸筋や肩周囲の筋肉、さらには腕や肩に分布する神経が損傷を受けることがあります。これにより、筋肉の動きや神経伝達が阻害され、肩の可動域が制限されることがあります。

 

乳がん手術後の肩の問題とは?

乳がん手術後の肩の問題は、様々な症状を引き起こすことがあります。以下に、それぞれの症状について詳しく説明します。

肩の可動域の制限

手術後、肩が上がらない、後ろに回せないといった動作制限がよく見られます。これは、手術中に筋肉や結合組織が損傷を受けることで、肩関節の周りの組織が硬くなり、可動域が制限されるためです。

また、手術後の痛みや不快感から肩を動かすことを避けることが多く、その結果、肩周囲の筋肉や関節が固まり、動かしづらくなることがあります。

 

痛みや不快感

手術後、肩や腕に痛みや不快感が生じることがあります。この痛みは、手術による組織の損傷や炎症、神経への影響などが原因です。痛みは、じっとしているときだけでなく、動かしたときに特に強く感じることがあります。

また、放射線治療が行われた場合、その影響で痛みや不快感が長引くこともあります。

 

筋力低下

乳がん手術後、肩や腕の使用を避けることが多いため、筋力低下が起こりやすくなります。手術後のリハビリが不十分であったり、痛みや不快感から動かすことを避けることで、筋肉が萎縮し、筋力が低下します。

筋力低下は、さらに動きの制限を引き起こし、日常生活の動作にも支障をきたすことがあります。

 

リンパ浮腫

乳がん手術では、腫瘍と共にリンパ節を切除することが多くあります。これにより、リンパ液の流れが阻害され、リンパ浮腫が発生することがあります。リンパ浮腫は、腕や肩が腫れ、重く感じることが特徴です。

また、リンパ液の滞留により、痛みや不快感も伴います。

 

当院でのアプローチについて

1. 軟部組織のリリース

筋膜リリース

筋膜リリースは、筋肉や筋膜(筋肉を包む結合組織)の緊張をほぐすための手法です。乳がん手術後は、特に肩甲骨周りや胸部の筋肉が硬くなりがちです。筋膜リリースを行うことで、これらの部位の緊張を和らげ、血流やリンパの流れを改善します。

具体的には、筋膜を軽く引っ張りながら緩める手技を用い、柔軟性を取り戻します。

マッサージ

マッサージも有効なアプローチです。肩や胸部の筋肉を丁寧にマッサージすることで、筋肉の緊張を緩和し、可動域を広げます。

特に、鎖骨下筋や前鋸筋、大胸筋などの筋肉に焦点を当てることが重要です。これにより、痛みが軽減され、肩の動きがスムーズになります。

 

2. 関節モビライゼーション

肩関節の動きの改善

関節モビライゼーションは、関節の正常な動きを回復させるための技術です。乳がん手術後は、肩甲上腕関節や肩鎖関節の動きが制限されることが多いため、これらの関節に対するモビライゼーションを行います。

具体的には、軽い圧力をかけて関節を動かすことで、関節の可動域を広げます。これにより、関節の動きが改善され、肩の可動域が向上します。

 

3. 姿勢改善の指導

日常生活における姿勢の改善

正しい姿勢を保つことは、肩の可動域を維持するために非常に重要です。手術後は、痛みや不快感から猫背になったり、肩が前に出た姿勢になりがちです。

具体的には、肩甲骨を引き寄せ、背筋を伸ばす姿勢を心がけるよう指導します。これにより、肩周りの筋肉のバランスが整い、可動域が改善されます。

 

4. 運動療法

自宅で行える簡単な運動療法

施術に加えて自宅で行える簡単な運動指導も行います。

肩のストレッチ:壁に手をついて、腕を上げた状態で体を前に倒すストレッチを行います。これにより、肩甲骨周りの筋肉が伸ばされ、可動域が広がります。

軽い筋力トレーニング:ゴムバンドを使ったエクササイズを行います。これにより、肩周りの筋力が徐々に回復します。

 

日常生活でのケア

定期的なストレッチ

肩の可動域を保つために、毎日軽いストレッチを行いましょう。特に、肩甲骨周りや胸部の筋肉を意識してストレッチすることが重要です。

重い物を持たない

手術後は無理をせず、重い物を持たないように注意します。これにより、肩や腕への負担を減らし、回復を促進します。

適度な運動

ウォーキングや軽いエクササイズなど、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。適度な運動は、全身の血流やリンパの流れを促進し、全体的な健康状態を改善します。

 

まとめ

乳がん手術後の肩の問題は、非常につらいと思います。できるだけ早く施術を行うことで肩の可動域を改善し、快適な日常生活を取り戻すことが可になります。

患者一人ひとりに合った施術とアドバイスを提供し、回復をサポートしていきます。

ご不明な点やご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

投稿者:松尾洋信
資格:柔道整復師 鍼灸師 カイロプラクター
経歴:明治東洋医学院専門学校 行岡整復専門学校 茨木市出身。施術家歴25年。学生時代はずっと野球をやっていました。大学卒業後に治療家を目指し専門学校へ入学、柔道整復師・鍼灸師の国家資格を取得。
その後、整骨院や鍼灸院・整形外科・社会人野球のトレーナー活動などを経て2010年に開業。その後、多くのセミナーに参加してレントゲンに基づいた独自の骨格矯正で首の痛みや頭痛・ストレートネック・頚椎ヘルニアなどの施術を専門としています。
身体のことでお悩みのことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

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参考文献