【脊柱管狭窄症と姿勢の関係】悪い姿勢が症状を悪化させる理由とは?
2025年06月8日
茨木市のまつお鍼灸整骨院では、脊柱管狭窄症でお悩みの方へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。
「立っていると足がしびれる…」
「前かがみで少し楽になるけど、歩くとツラい…」
それ、脊柱管狭窄症による症状かもしれません。脊柱管狭窄症は普段の姿勢によって症状の程度が大きく左右されるのをご存知でしょうか?
この記事では、脊柱管狭窄症と姿勢の関係性、そして悪化を防ぐために意識すべきポイントについて解説します。
■ 脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症とは、背骨の中にある**神経の通り道(脊柱管)**が加齢や姿勢のゆがみによって狭くなり、神経が圧迫されることで痛みやしびれが出る疾患です。
特に多いのが腰の部分での発症で、「腰部脊柱管狭窄症」と呼ばれます。
【代表的な症状】
✔長時間立っていると、腰〜脚にかけて痛みやしびれが出る
✔歩くとツラいが、前かがみになると少し楽になる(間欠性跛行)
✔足の力が入りにくい
✔夜間にふくらはぎがつる・違和感がある
姿勢と脊柱管狭窄症の関係について
▼ 正しい背骨のカーブ
背骨は「頚椎」「胸椎」「腰椎」「仙骨」からなり、S字状の自然なカーブを描くことで、上半身の重みを効率よく分散しています。
✔頚椎の前弯
✔腰椎の前弯
✔胸椎の後弯
このバランスが崩れると、脊柱管内のスペースが狭くなりやすくなり、神経圧迫のリスクが高まるのです。
悪い姿勢が引き起こす「脊柱管の圧迫」
■ 猫背(円背)
・胸椎の後弯が過剰になると、腰椎が真っすぐに引っ張られる
・結果として腰椎の前弯が減少(=フラットバック)
・腰の神経通路が前後から潰され、脊柱管が押しつぶされる
※特に長時間座りっぱなしのデスクワークや高齢者に多いパターン。
■ 骨盤後傾(お尻が下がる・腰が丸まる)
・骨盤が後ろに倒れることで、連動して腰椎も後弯しやすくなる
・骨盤〜腰椎〜胸椎と、連鎖的にカーブが崩れ、
・結果として、背骨全体で脊柱管が狭まりやすい状態に
※長年の姿勢不良、筋力低下(特に腹筋・殿筋の弱化)で生じやすい。
■ ストレートネック(頚椎の前弯消失)
・首が前に出る姿勢になると、自然と背中が丸くなり、腰椎まで影響がでる
・頚椎のストレート化が、背骨全体のバランスを崩す要因
・腰のアライメントにも悪影響を及ぼし、腰椎の負担が増大 → 狭窄悪化
■ 反り腰タイプのリスクにも注目
「腰の反り=良い姿勢」と思われがちですが、過剰な反り(前弯過多)=反り腰は脊柱管狭窄症のリスク要因です。
◆ なぜ反り腰がいけないのか?
・腰椎が過剰に前方へ弯曲することで、後方の脊柱管が“圧迫される”
・神経根・馬尾神経の後ろ側からの圧迫が起きやすくなる
特に、立位でのしびれや足の重だるさを訴える人は、反り腰由来の狭窄が関与していることが多い
◆ 反り腰の特徴
・ヒールをよく履く/お腹が前に出ている
・腰に“詰まり感”がある
・立っていると腰がしんどいが、座るとラクになる
・お尻の筋肉や太もも裏(ハムストリング)が硬く、腰を引っ張っている
▽ 今すぐできるセルフチェック
✔自分の横姿をスマホで撮ってみる
✔腰が真っすぐ or 反りすぎていないか確認
✔お尻が下がっていないか(骨盤後傾)
✔あごが前に出ていないか(ストレートネック)
脊柱管狭窄症の根本原因の1つに**「姿勢バランスの崩れ」**があるのは間違いありません。
単なる筋肉の緊張や腰の使いすぎではなく、日々の姿勢習慣が神経圧迫のきっかけを作っているのです。
症状を根本から改善するためには、単に「痛みを取る施術」ではなく、骨盤・腰椎・背骨全体の姿勢を見直すアプローチが必要です。
■ 「姿勢を整えること」が根本改善につながる理由
脊柱管狭窄症において最も重要なのは、「症状の原因となっている神経圧迫をどう取り除くか」です。
そのカギとなるのが 姿勢の改善 です。
多くの患者さんが整形外科や整骨院で「電気治療」「温熱療法」「牽引」を受けても一時的にしか良くならないのは、根本原因である骨格や姿勢のゆがみが解消されていないからです。
● 姿勢が整うことで得られる3つの効果
神経の圧迫が軽減する→ 脊柱管のスペースが広がり、神経へのストレスが減少。
筋肉・関節の負担が分散される→ 無理な動きや負荷が減り、痛み・しびれが出にくくなる。
自然治癒力が働く→ 血流や神経の流れ・代謝が良くなる。
こうした効果により、「良くなってもすぐ戻る」を繰り返す状態から抜け出し、症状が出にくい体づくりへとつながっていきます。
■ 日常で気をつけたい「姿勢のポイント」
● 立ち姿勢のチェックポイント
骨盤を立てる意識を持つ→ 「恥骨とおへそを垂直に保つ」イメージ。反り腰や猫背を避け、体幹を安定させる。
膝を伸ばしきらず、やや緩める→ 膝を完全にロックすると腰椎に負担がかかりやすくなるため、軽く緩めることで姿勢が安定します。
お腹を軽く引き締め、胸を張りすぎない→ お腹に軽く力を入れることで体幹が使われ、腰椎の反りすぎを防げます。
重心がつま先寄りにならないように→ かかと〜足裏全体で体重を支えるよう意識すると、腰・膝への負担が減ります。
● 座り姿勢のチェックポイント
骨盤を立てて座る(坐骨で座る)→ 椅子に深く腰掛けるのではなく、骨盤を立てて“骨盤の下の坐骨”で座る感覚が理想。
背もたれを頼りすぎず、自然に背筋を伸ばす→ 背中が丸まると腰椎が後弯し、脊柱管が狭くなりやすくなります。5分おきに姿勢を意識し直すのも効果的。
足を組まない・両足を床にしっかりつける→ 足を組むと骨盤がねじれ、脊柱に歪みが生じやすくなります。座面が高すぎたり低すぎたりする椅子もNG。
■ 姿勢改善には「動き」と「習慣の見直し」が不可欠
静止している時だけでなく、「動作中の姿勢」も重要です。
✔歩くときの重心が左右にぶれていないか
✔立ち上がるときに腰から起きていないか
✔前屈みの動作で腰に負担をかけていないか
といった普段の動きを見直すことで、姿勢は大きく変わります。
■ まとめ:姿勢は「症状を変える」
脊柱管狭窄症は、単に神経の通り道が狭くなる疾患ではありません。
日々の姿勢・体の使い方のクセが積み重なって、神経を圧迫するような習慣になってしまっているのです。
脊柱管狭窄症は腰だけの問題だけではなく姿勢から改善していくことが大切になってきます。
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