肩こり・猫背・頭痛…ランドセルが引き起こす“姿勢トラブル”の実態とは?

2025年05月19日

茨木市のまつお鍼灸整骨院では、身体のことでお悩みの方へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。

ランドセル症候群という言葉を知っていますか?

✔小学校に入ってから、なんだか子どもの背中が丸くなった気がする…

✔帰ってくると“肩が痛い”って言うけど、小学生で肩こり?

✔勉強中の姿勢も悪く、すぐ頭が痛くなるみたい…

そんなお悩みを持つ保護者の方も少なくありません。実はそれ、ランドセルによる“姿勢トラブル”が原因かもしれません。

この記事では、なぜランドセルが体に負担をかけるのか?を専門的な視点からわかりやすく解説します。

そもそも「ランドセル症候群」とは?

ランドセル症候群とは、重いランドセルを毎日背負うことで、子どもの体にさまざまな不調が現れる状態を指す言葉です。

医学的な正式名称ではありませんが、近年、よく使われるようになってきています。

主な症状は以下の通りです

✔肩こり・首こり

✔頭痛・めまい

✔猫背・巻き肩

✔背中・腰の痛み

✔集中力低下・疲れやすい

子どもは「だるい」「なんとなくしんどい」としか言えないことが多いため、見逃されやすいのが特徴です。

小学生のランドセル、実はかなり重い!

文部科学省の調査によると、小学1〜2年生のランドセルの平均重量は約4〜6kgと言われています。これは、体重25kg程度の子どもにとって、体重の20〜24%に相当する重さです。

たとえば、体重60kgの大人に当てはめると、毎日12〜15kgの荷物を背負って登下校するようなもの

しかも子どもは、学校の行き帰りだけでなく、登校中に階段を上がったり、休み時間に教室の移動もあるなど、予想以上に動き回っています。

さらに重要なのは、成長期の子どもは筋力や骨格がまだ完成していないという点です。

特に低学年の子どもたちは、

✔肩まわりや体幹の筋肉が発達途上

✔骨や関節がやわらかく、変形しやすい

✔姿勢を長時間保つだけの体力がない

こういった体の未成熟さがあるため、ランドセルの重さが直接「姿勢の崩れ」や「慢性的な肩こり・腰痛・猫背」につながりやすいのです。

また、最近では「体操服」「水筒」「タブレット」「上履き」「給食袋」など、ランドセル以外にも荷物が多く、実際には7kgを超えることも珍しくありません

学校に行くことが、毎日の肉体的ストレスになってしまっている子どもも多く、ランドセルの重さは“軽視できない健康課題”となりつつあるのです。

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ランドセルが姿勢に与える“3つの悪影響”

① 肩こり・首こりの原因に

ランドセルが重いと、子どもは肩をすくめて体を固定するように歩きます。
このとき首や肩周りの筋肉が過剰に働き、こわばりや血行不良が起こります。

結果として、

✔肩こり

✔首の痛み

✔頭痛

など、慢性不調が現れます。

 

② 猫背・巻き肩を助長する

重さを支えきれない子どもは、体を前に傾けて歩くようになります。
この状態が続くと、

✔背中が丸くなる(猫背)

✔肩が内側に入る(巻き肩)

✔肋骨が圧迫されて呼吸が浅くなる

→ 結果、姿勢が崩れ、集中力や学習効率にも影響が出ることも。

 

③ 頭痛・倦怠感・集中力低下

首や肩周りの筋緊張が続くと、血流が悪化し脳への酸素供給が低下します。
これにより起こりやすくなるのが、

✔頭痛

✔朝のだるさ

✔集中力の欠如

さらに、スマホ・タブレットによるストレートネックが加わると、さらに大きな負担がかかります。

親が気づくべき“姿勢トラブル”のサインとは?

帰宅後すぐに「疲れた」「肩が痛い」と言う

通学の短い距離でも、子どもにとってはランドセルがかなりの負担になることがあります。特に肩や首の筋肉が未発達な低学年では、重さを支えるだけで筋肉が緊張し、痛みや疲労感につながりやすくなります。

勉強中、顔が近い/背中が丸くなる

ランドセルで引っ張られた姿勢のクセがそのまま残り、勉強中も前かがみの姿勢になりがちです。猫背状態が習慣化すると、視力低下や集中力の低下にもつながる恐れがあります。

首が前に出て、頭が傾いている

これは「ストレートネック」と呼ばれる状態に近く、ランドセルの負荷に加え、スマホやタブレットの使用も影響しています。首の筋肉が常に緊張してしまい、肩こりや頭痛を引き起こす原因になります。

ランドセルをよく左右どちらかだけで持ちたがる

持ちやすい方ばかり使うクセは、体の左右バランスの崩れに直結します。骨盤や背骨のゆがみを引き起こしやすく、慢性的な姿勢不良につながります。

朝起きた時から頭痛・だるさがある

寝ている間に回復するはずの体が、実は疲れをリセットしきれていない状態。日中の過度な負担(重いランドセルや悪い姿勢)が自律神経にまで影響している可能性があります。

いますぐできる!ランドセル姿勢トラブル対策

① ランドセルの重さを見直す

✔教科書はこまめに置いてくる

✔不要なものを入れっぱなしにしない

✔軽量タイプのランドセルやサブバッグ活用も検討

 

② 肩ひもの長さ・背負い方を調整

✔肩ひもが長すぎると、背中から大きく離れて負荷が倍増

✔肩の高さに合わせてランドセルの位置は背中の中央に

✔背中にフィットするように「体に密着させる」のがポイント

 

③ 姿勢を整えるストレッチを取り入れる

✔胸を開くストレッチ

✔肩甲骨まわりのほぐし体操

※保護者が一緒に取り組むと続けやすくなります!

 

④ 子どもの「姿勢観察」を習慣に

✔勉強中、リビングでの姿勢をときどきチェック

✔スマホやタブレットの使用姿勢も注意

「いい姿勢=疲れない」を体で覚えさせることが大切

まとめ|“子どもの肩こり”は、異常ではなく“現実”

昔は「子どもに肩こりなんて…」と言われていましたが、今は違います。

✔重たいランドセル

✔デジタル機器の使用増

✔勉強時間の長時間化

これらが重なり、現代の小学生は姿勢のトラブルを抱えやすい環境にあります。

親ができることは、「気づいて、見守り、対策する」こと。毎日の通学や学習姿勢が、将来の体の発育や健康に大きく関わってくるという意識が必要です。

子ども自身は体の不調を言葉にできないこともあるため、大人が変化に気づき、適切なサポートをしていくことが、健やかな成長につながります。

ぜひ今一度、お子さんの「姿勢」と「生活環境」を見直してみてください。