膝の裏側が痛い…その原因は?見逃されやすい6つの疾患について!!
2025年05月22日
茨木市のまつお鍼灸整骨院では、膝の痛みでお悩みの方々へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。
「立ち上がるときに膝の裏が痛い」
「歩いていると膝の後ろが突っ張る感じがする」
「膝の裏に違和感があって正座や階段がつらい…」
こうした症状でお悩みの方も多いのではないでしょうか?
膝の痛みといえば「前側(膝のお皿まわり)」をイメージされる方が多いかもしれませんが、膝の裏側に起こる痛みも意外と多く、しかも見落とされやすいのが特徴です。
この記事では、膝の裏側の痛みの原因として考えられる6つの代表的な疾患とその見分け方、そして早期対応の重要性についてわかりやすく解説します。
膝の裏側が痛い原因は?代表的な6つの疾患
① ベーカー嚢腫
膝の裏に“水がたまって”膨らんだような症状が出る疾患です。関節内に炎症があると、滑液(関節液)が後方に流れ出し、膝裏に嚢胞(のうほう)ができて腫れることで痛みや圧迫感が起こります。
主な症状:
✔膝裏が腫れている
✔曲げ伸ばしで突っ張る感じがある
✔歩くと膝裏に違和感・重だるさ
ポイント:
筋肉の張りと思って放置 → 嚢腫が大きくなり、神経や血管を圧迫するリスクあり
② 膝窩筋炎
膝裏にある小さな筋肉「膝窩筋」が炎症を起こす状態です。 登山・階段・ランニングなどで負担がかかると、筋肉や腱が過剰に緊張して痛みが出ます。
主な症状:
✔階段の下りで膝裏がズキッと痛む
✔スポーツ中に急に膝裏が痛くなる
✔走った後に違和感が続く
ポイント:
無理にストレッチやマッサージをすると悪化するケースも
③ 半月板損傷【特に後方】
膝関節のクッションである半月板の「後ろ側」が損傷すると、膝の裏側に痛みやひっかかり感が出ることがあります。 加齢・スポーツ・交通事故などが原因で生じやすく、40代以降に多く見られます。
主な症状:
✔膝裏の奥に痛みがある
✔曲げた状態から立ち上がるときに強い痛み
✔膝が“引っかかる”ような感覚がある
注意点:
レントゲンには映らないため、MRIでの精密検査が必要
④ 靭帯損傷(特に後十字靭帯)
膝の安定性を保つ靭帯が損傷すると、膝の裏側や内側に痛みや不安定感が出ることがあります。 スポーツでの接触や転倒、急な動きによる損傷が主な原因です。
主な症状:
✔膝裏に痛みがあるとともに“ぐらつき”を感じる
✔急な方向転換やジャンプの着地で痛みが悪化する
✔腫れや熱感が出ることも
注意点:
靭帯損傷は放置すると膝の変形や将来的な不安定性につながります
⑤ 変形性膝関節症
膝関節の軟骨がすり減ることで、骨と骨がぶつかり痛みが生じる慢性疾患です。 通常は膝の前や内側に痛みが出ることが多いですが、進行すると膝裏にまで痛みが広がることもあります。
主な症状:
✔膝裏が重だるく、立ち上がりがつらい
✔歩きはじめに痛みがあるが、動くと軽くなることも
✔膝に水がたまる・腫れる
注意点:
高齢者や膝に過度な負担がかかっている方に多い
⑥ 筋膜の癒着・骨盤の歪みからくる関連痛
骨格のゆがみや筋膜の硬さが原因で、直接的な膝の異常がなくても膝裏に痛みが出ることがあります。 とくに骨盤の歪みや足の筋膜の癒着があると、膝裏の筋肉に不自然な緊張がかかり、慢性的な違和感や痛みに発展することも。
主な症状:
✔痛みの部位が毎回少しずつズレる
✔姿勢によって痛みの強さが変わる
✔マッサージしてもすぐ戻る
見逃されやすいポイント:
レントゲンやMRIで異常が出ず「異常なし」と言われることが多い
放置するとどうなる?
膝裏の痛みを「たいしたことない」「そのうち治るだろう」と安易に放置してしまうと、実はさまざまな**“二次的トラブル”**へとつながるリスクがあります。特に以下のようなことには注意が必要です。
● 関節の可動域が徐々に狭くなる
膝の裏側に痛みがあると、無意識のうちに膝をしっかりと曲げ伸ばししなくなり、関節まわりの筋肉・靭帯・関節包が硬くなっていきます。こうした状態が続くと、本来の可動域が徐々に狭まり、しゃがむ・階段を下りる・正座するといった日常動作が困難になっていきます。
● 歩き方が崩れ、股関節・骨盤・腰にも悪影響
膝裏に違和感があると、痛みを避けるために足を引きずったり、重心を片側に偏らせた歩き方になりがちです。この“かばう姿勢”が続くことで、
骨盤が歪む
股関節に負担が集中
腰に過剰な緊張が生まれる
といった状態が連鎖的に起こり、膝だけでなく、身体全体のバランスが崩れてしまいます。
● 炎症が慢性化し、水がたまりやすくなる
膝関節の中で炎症が長期間続くと、関節包内に滑液(関節の潤滑液)が過剰に分泌され、**「関節水腫(=膝に水がたまる状態)」**になりやすくなります。水がたまると膝が腫れて動かしづらくなり、さらに筋力低下や可動域制限が進行するという悪循環に陥ります。
● 「かばう生活」は体のゆがみを加速させる
膝をかばう姿勢を無意識に続けていると、
片足に偏った立ち方・歩き方
腰や背中の筋肉の過緊張
肩の高さや背骨のラインの左右差
といった全身のゆがみを引き起こす要因にもなります。その結果、「今までなかったはずの腰痛・股関節痛・肩こり」が出てくるというケースも非常に多いです。
膝裏の痛みは、軽視せず、早めに適切な評価と対策を行うことが大切です。原因が明確であれば、施術によって早期改善が期待できます。放置するのではなく、しっかりとケアしていきましょう。
自分でできるセルフチェックと対処法
膝裏の痛みや違和感を感じたときは、次のポイントを意識してチェックしてみましょう。
● 正座やしゃがみ動作で膝裏が突っ張るか
→ 膝関節を深く曲げたときに、後ろ側が引っかかる・突っ張る・圧迫感がある場合は、関節や筋肉に負担がかかっているサインです。
● 膝裏に腫れや熱感がないか手で触れてみる
→ 軽く膝裏を触れて、片側だけ明らかに腫れている・熱を持っているといった症状があれば、炎症や「ベーカー嚢腫」の可能性もあります。
● 歩行や階段の上り下りで痛みが出るタイミングを確認
→ 「階段を下ると痛い」「立ち上がるときに痛みが走る」など、特定の動作で痛みが強くなる場合は、半月板や膝裏筋(膝窩筋)などの関与が疑われます。
違和感が続く、または徐々に悪化しているように感じる場合は、早めに専門機関で診てもらうようにしましょう。
まとめ|「膝の裏が痛い」は、放置せずまずチェックを!
膝の裏側の痛みにはさまざまな原因が隠れており、単なる筋肉痛とは限りません。
「なんとなく変だな」と思ったときこそが、体からのサインです。
ベーカー嚢腫・膝窩筋炎・半月板損傷・靭帯損傷・変形性膝関節症・筋膜の癒着など、早期に対処することで回復も早く、再発も防ぎやすくなります。
まずは自分の膝裏の痛みがどこから来ているのか、知ることが大切です。