手のシビレの原因は手根管症候群によるものか?頚椎の神経圧迫からおこるのか?鑑別が大事

2024年10月6日

まつお鍼灸整骨院では、手のしびれでお悩みの方々へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。

手のしびれの原因は?

手や腕にシビレを感じた場合、その原因は一つではありません。特に手根管症候群と頚椎の神経圧迫から起こるシビレは、似たような症状を呈するため、適切な施術を行うにはその違いを正確に理解し、鑑別することが重要です。

本記事では、手根管症候群と頚椎の神経圧迫によるシビレの違い、そしてそれぞれに応じた治療方法について詳しく解説します。

 

シビレのメカニズム

シビレとは、体の一部が感覚を失ったり、ピリピリとした異常感覚が現れる状態を指します。主に神経の圧迫や損傷が原因で起こり、特に感覚神経に何らかの異常が生じることで発生します。

神経は、脳からの指令を体の各部位に伝達する重要な役割を担っています。神経の障害が発生すると、適切な信号が伝わらなくなり、その結果としてシビレや痛み、さらには運動障害が生じることがあります。

シビレの原因としては、以下のようなものが挙げられます。

末梢神経の圧迫(例:手根管症候群)

脊髄や神経根の圧迫(例:頚椎症、椎間板ヘルニア)

血行不良(例:糖尿病による神経障害)

シビレが起こるメカニズムを理解した上で、次に具体的な症例である手根管症候群と頚椎からの神経圧迫によるシビレについて見ていきます。

手根管症候群によるシビレ

手根管症候群とは?

手根管症候群は、手首の内側にある「手根管」というトンネルの中を通る正中神経が圧迫されることで、手や指にシビレや痛みが生じる疾患です。特に親指から薬指にかけてのシビレが特徴的で、手の握力の低下や細かい動作が困難になることもあります。

 

手根管症候群の原因

手根管症候群の原因には以下のようなものがあります。

手首の酷使

パソコン作業やスマートフォンの長時間使用、手作業などで手首を酷使すると、手根管内の圧力が高まり、正中神経が圧迫されます。

 

ホルモンの変化

妊娠中や更年期に見られるホルモンバランスの変化が、手根管内の組織に影響を与え、症状を引き起こすことがあります。

 

外傷や炎症

骨折や打撲による外傷、あるいは関節リウマチなどの炎症性疾患も手根管症候群のリスクを高めます。

 

手根管症候群の症状

手根管症候群の主な症状は次の通りです。

指や手のシビレ

特に親指、人差し指、中指、薬指のシビレが強く出ます。小指には通常症状が現れません。

 

夜間の症状の悪化

夜間や朝方にシビレや痛みが強くなることが多いです。手を振ることで一時的に改善することもあります。

 

握力の低下

進行すると、手の握力が低下し、物を持つ力が弱くなります。細かい作業やペンを持つといった動作が困難になります。

 

母指球筋の萎縮

正中神経の長期的な圧迫により、親指の付け根の筋肉が萎縮し、見た目でも異常が確認されることがあります。

 

頚椎の神経圧迫によるシビレ

頚椎の役割とシビレの関係

頚椎は7つの椎骨で構成され、神経が肩や腕、手に信号を送っています。頚椎の問題、特に神経が圧迫されることで、肩から腕、手、さらには指先にかけてシビレが広がることがあります。

 

頚椎の神経圧迫が原因のシビレの主な疾患

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板が変性し、神経を圧迫することで、首の痛みや肩、腕、手にかけてシビレが発生します。

 

頚椎症

頚椎が加齢や姿勢の悪さにより変形し、神経を圧迫することでシビレや痛みが生じる疾患です。頚椎症性神経根症とも呼ばれます。

 

脊髄圧迫(脊髄症)

頚椎の脊髄自体が圧迫されることで、四肢にシビレや麻痺が現れる重篤な状態です。歩行障害やバランスの喪失も進行することがあります。

 

頚椎の神経圧迫によるシビレの特徴

肩から腕にかけてのシビレ

神経の圧迫によって、首から肩、腕、さらには指先にシビレが広がります。

 

首の動きに伴う痛みやシビレの悪化

首を動かすことで痛みやシビレが増強することが多く、特に後屈や側屈(首を後ろや横に傾ける動作)で症状が強く出ることがあります。

 

肩こりや首の痛み

首の問題が原因で肩こりや首の痛みが強く現れることがよくあります。

 

手根管症候群と頚椎神経圧迫によるシビレの鑑別ポイント

手や腕のシビレが手根管症候群によるものか、頚椎の神経圧迫によるものかを判断するためには、以下の鑑別ポイントを参考にすることが重要です。

 

シビレの範囲

手根管症候群

親指、人差し指、中指、薬指の一部がシビレの対象となり、小指には通常影響がありません。

 

頚椎の神経圧迫

シビレは肩から腕、さらには手の全体、特に小指にまで及ぶことが多いです。

 

発症状況

手根管症候群

長時間の手作業や、夜間に症状が悪化しやすいです。

 

頚椎の神経圧迫

首を特定の方向に動かすとシビレや痛みが増すことがあり、特に首を後ろに傾けた際に症状が強くなることがあります。

 

その他の症状

手根管症候群

握力の低下や手の筋肉(母指球筋)の萎縮が進行することがあります。

 

頚椎の神経圧迫

肩や首の痛み、さらには頭痛が併発することが多いです。脊髄が圧迫されている場合、歩行障害や四肢の動作不良が見られることもあります。

 

 鑑別方法

手根管症候群

ティネル徴候(手首を叩くとシビレが増す)やファーレンテスト(手首を曲げて一定時間保持するとシビレが強くなる)で判断が行われます。

 

頚椎の神経圧迫

画像診断(X線、MRI)やスパーリングテスト(首を特定の方向に動かして神経の圧迫を確認)を用いて判断されます。

まとめ

手や腕のシビレは、手根管症候群によるものか頚椎の神経圧迫によるものかを正確に鑑別することが重要です。シビレの原因を正しく特定することで、適切な施術を受けることができ、早期回復にもつながってきます。

手のしびれでお悩みの方はお気軽にご相談くださいね。

 

投稿者:松尾洋信

資格:柔道整復師 鍼灸師 カイロプラクター

経歴:明治東洋医学院専門学校 行岡整復専門学校

茨木市出身。施術家歴25年。学生時代はずっと野球をやっていました。大学卒業後に治療家を目指し専門学校へ入学、柔道整復師・鍼灸師の国家資格を取得。

その後、整骨院や鍼灸院・整形外科・社会人野球のトレーナー活動などを経て2010年に開業。その後、多くのセミナーに参加してレントゲンに基づいた独自の骨格矯正で首の痛みや頭痛・ストレートネック・頚椎ヘルニアなどの施術を専門としています。

身体のことでお悩みのことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

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参考文献