股関節唇損傷とは?スポーツ選手に多い原因と症状について
2025年10月9日

茨木市のまつお鍼灸整骨院では、股関節の痛みでお悩みの方へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。
股関節を支える“股関節唇”の役割
股関節は、骨盤の「臼蓋」と大腿骨の「骨頭」が組み合わさる関節です。
この関節を縁取るように存在するのが「関節唇」と呼ばれる軟骨組織。股関節唇はクッションや吸盤のような役割を果たし、骨同士の安定性を保ちながら衝撃を和らげています。
しかし激しい動作や繰り返しの負担により、この関節唇に損傷が起こることがあり、それを「股関節唇損傷」と呼びます。
股関節唇損傷の主な原因
1. スポーツ動作による負担
特にサッカー、バスケットボール、ラグビー、野球など、方向転換や切り返し動作の多い競技では、股関節に強いひねりや衝撃が加わります。その繰り返しが股関節唇に小さな亀裂や損傷を生じさせ、やがて大きな痛みへとつながります。
2. 反復性の屈伸・ジャンプ
マラソンや陸上競技、バレエや体操など、股関節を大きく動かす競技でも発症リスクが高まります。繰り返しの動作による摩耗は「慢性的な股関節唇損傷」を引き起こしやすいです。
3. 構造的な要因(骨形態の異常)
「臼蓋形成不全」や、大腿骨の形態異常(FAI=大腿骨寛骨臼インピンジメント)があると、股関節唇に常にストレスが加わりやすくなります。このような骨の形態異常は、若いスポーツ選手において特に問題となります。
4. 外傷
転倒や接触プレーなどによる直接の外力も股関節唇を損傷する原因となります。強い衝撃で一気に損傷するケースも少なくありません。
股関節唇損傷の主な症状
1. 股関節の前方や鼠径部の痛み
最も多い症状が「鼠径部の痛み」です。立ち上がる時や歩き始めにズキっと痛む、長時間座っていると違和感が強まるといったケースが典型的です。
2. 引っかかるような感覚(クリック音)
股関節を動かした時に「ゴリッ」「パキッ」と音がしたり、引っかかる感覚が出ることがあります。関節内で損傷した唇がひっかかり、スムーズな動きを妨げるためです。
3. 可動域の制限
特に股関節を深く曲げる動作や内旋(内側にひねる動作)が制限されることがあります。スポーツ選手ではパフォーマンス低下に直結するため、大きな問題となります。
4. 運動後の痛み・疲労感
練習や試合後に痛みが強くなる、翌日に股関節が重だるく感じるといった症状も股関節唇損傷の特徴です。
放置するとどうなる?
股関節唇損傷を放置したままスポーツや日常動作を続けると、関節内部の摩擦や炎症が慢性化し、軟骨や関節唇の損傷が広がっていきます。特に、股関節は体重を支える重要な関節のため、わずかな損傷でも繰り返しの負担で悪化しやすい部位です。
初期は「動かしたときに違和感がある」「クリック音がする」「一時的に痛む」といった軽度の症状でも、放置することで関節の安定性が失われ、周囲の筋肉や腱にも負担が波及します。
やがて関節軟骨の摩耗が進み、変形性股関節症へと移行するリスクが高まります。
変形が進行すると、痛みが慢性化して歩行困難になったり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
さらに、可動域制限が強まると腰や膝への負担も増え、全身の姿勢バランスが崩れる悪循環に陥ります。
スポーツ選手の場合、パフォーマンスの低下や長期離脱を余儀なくされるケースも多く、早期の対応が極めて重要です。
改善と予防のポイント
1. 初期は保存療法が基本
安静、リハビリによって炎症を抑えるのが第一選択です。股関節周囲の筋肉(特に大臀筋や中臀筋)を強化することで、再発予防や負担軽減につながります。
2. スポーツ復帰に向けた段階的なリハビリ
柔軟性改善、体幹トレーニング、可動域の拡大などを段階的に行う必要があります。焦って復帰すると再損傷のリスクが高まるため、専門的な指導のもとで進めることが重要です。
3. 生活習慣の改善
長時間の座位、片足重心、合わない靴なども股関節に負担をかけます。日常生活での習慣を見直すことが予防につながります。
4. 重症例では手術も
関節鏡を用いた「関節唇修復術」や「股関節鏡視下手術」が行われることもあります。早期発見・早期治療で進行を防ぐことが大切です。
まとめ
股関節唇損傷はスポーツ選手に多い疾患で、方向転換やジャンプなどの繰り返しによって発症します。症状は鼠径部痛や可動域制限、クリック感など多岐にわたります。
放置すると変形性股関節症に進行するリスクがあるため、早めの検査・施術が必要です。適切なリハビリや生活習慣の改善を行うことで、再発を防ぎながら安全にスポーツ復帰を目指せます。
投稿者:松尾洋信
資格:柔道整復師 鍼灸師 カイロプラクター
経歴:明治東洋医学院専門学校 行岡整復専門学校

茨木市出身。施術家歴25年。学生時代はずっと野球をやっていました。大学卒業後に治療家を目指し専門学校へ入学、柔道整復師・鍼灸師の国家資格を取得。
その後、整骨院や鍼灸院・整形外科・社会人野球のトレーナー活動などを経て2010年に開業。その後、多くのセミナーに参加してレントゲンに基づいた独自の骨格矯正で首の痛みや頭痛・ストレートネック・頚椎ヘルニアなどの施術を専門としています。
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