グロインペイン症候群とは?原因や症状について詳しく解説
2025年10月23日

茨木市のまつお鍼灸整骨院では、足の付け根の痛みでお悩みの方へ向けて、役立つ情報を提供しています。患者さんからよくいただく質問や疑問に対する回答を、私自身が勉強してきたことや、実際の施術経験に基づいて、記事にまとめています。
グロインペイン症候群とは、主にスポーツ選手に多く見られる「鼠径部」の慢性的な痛みを指します。特にサッカー、ラグビー、陸上競技など、キック・ダッシュ・方向転換といった動作を繰り返す競技で発症しやすいのが特徴です。
単一の部位の炎症ではなく、複数の筋肉や腱、関節が関係する複合的な障害として捉えられています。
グロインペイン症候群の主な原因
1. 股関節や骨盤まわりの柔軟性不足
柔軟性が低下すると、股関節の可動域が制限され、動作のたびに筋肉や腱に強い引っ張りが生じます。特に、太ももの内側の内転筋や股関節前面の腸腰筋が硬くなると、蹴り動作や方向転換の際に負担が集中します。ストレッチ不足や冷えも柔軟性低下の一因です。
2. 筋力バランスの乱れ
体幹や腹筋が弱いと、骨盤を安定させる力が不足し、股関節まわりに過剰なストレスがかかります。また、内転筋と外転筋の筋力差が大きい場合も、股関節の動きがアンバランスになり、炎症や痛みを誘発します。特にサッカー選手など、片足を酷使する競技に多く見られます。
3. 姿勢やフォームの崩れ
走り方やキックフォームが崩れると、特定の筋肉に負担が集中します。骨盤の傾きや体幹のねじれも原因となり、鼠径部へのストレスが慢性的に続くことで症状が悪化します。特に疲労時や試合終盤にフォームが乱れる選手は注意が必要です。
4. オーバーワーク・疲労の蓄積
トレーニングや試合が続き、筋肉の回復が追いつかないと、微細な損傷が修復されないまま慢性炎症へと進行します。練習の質より量を重視することで、グロインペインを発症するケースが多く、休息やリカバリーの不足が大きなリスク要因となります。
5. ウォーミングアップやクールダウン不足
十分に筋肉を温めずに激しい動作を行うと、筋繊維や腱が硬いまま急に伸ばされ、炎症を起こしやすくなります。また、運動後にクールダウンを怠ると、疲労物質が筋肉内に滞留し、硬さや痛みを慢性化させます。予防の基本は「準備」と「ケア」を徹底することです。
症状の特徴
グロインペイン症候群の症状は次のような特徴があります。
- 太ももの付け根(鼠径部)や下腹部にズーンとした鈍痛がある
- 片足立ちや方向転換、キック動作で痛みが強くなる
- 安静時には痛みが軽減するが、運動再開で再発する
- くしゃみや腹圧をかける動作で痛むことがある
- 初期は違和感程度だが、放置すると慢性的な痛みに移行
このような鼠径部の痛みは、筋肉痛と混同されて放置されやすいのが特徴です。しかし、グロインペイン症候群では筋肉や腱の微細な損傷が繰り返されているため、単なる疲労とは異なります。
痛みを我慢して練習を続けると、周囲の組織に炎症が広がり、慢性的な痛みへ移行します。特にサッカーや陸上など、切り返し動作やキック動作の多い競技では悪化しやすく、早期の休養とケアが非常に重要です。
放置するとどうなる?
グロインペイン症候群を放置すると、慢性的な炎症が股関節や恥骨周囲に広がり、痛みが長期化します。特に、休まずに運動を続けることで筋肉や腱の微細な損傷が修復されず、組織が硬化・線維化してしまうことがあります。
その結果、股関節唇損傷や恥骨結合炎といった二次的障害へ発展し、痛みの範囲が拡大。治療期間が数か月から半年以上に及ぶケースも珍しくありません。
スポーツ復帰が遅れるだけでなく、再発リスクも高まるため、早期のケアと休養が不可欠です。
改善・予防のポイント
グロインペイン症候群を予防・改善するためには、股関節や体幹のバランスを整えることが重要です。
- ストレッチ:内転筋・腸腰筋・ハムストリングスを中心に柔軟性を高める
- 体幹トレーニング:腹横筋・中殿筋を鍛え、骨盤の安定性を向上
- フォーム改善:キックや走行時の姿勢を見直す
- 休息の確保:疲労を溜めず、オーバートレーニングを防ぐ
- 専門的ケア:痛みが長引く場合は整形外科や整骨院でのリハビリを受ける
まとめ
グロインペイン症候群は「放っておけば治る」と思われがちですが、再発しやすく慢性化することが多いスポーツ障害です。
股関節や体幹のバランスを整え、柔軟性と筋力を両立させることが回復への近道です。痛みを感じたら早めに対処し、根本原因を改善することが競技復帰の最短ルートとなります。
投稿者:松尾洋信
資格:柔道整復師 鍼灸師 カイロプラクター
経歴:明治東洋医学院専門学校 行岡整復専門学校

茨木市出身。施術家歴25年。学生時代はずっと野球をやっていました。大学卒業後に治療家を目指し専門学校へ入学、柔道整復師・鍼灸師の国家資格を取得。
その後、整骨院や鍼灸院・整形外科・社会人野球のトレーナー活動などを経て2010年に開業。その後、多くのセミナーに参加してレントゲンに基づいた独自の骨格矯正で首の痛みや頭痛・ストレートネック・頚椎ヘルニアなどの施術を専門としています。
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